データで見る、ゲイ・バイセクシャルと HIV/エイズ情報ファイル

投稿日:2020年10月29日 更新日:

Contents

はじめに

この本は、HIVについて情報を集めたり、相談をしたりされたり、検査を受けようとする、そんなあなたを応援するためのツールです。

ゲイ・バイとHIVの現状についてちょっと調べものをするときに使える「情報ファイル」でありたい。

HIVに関わる、主にゲイ・バイのメンバーでつくったこの本のタイトルにはそうした想いを込めています。

この本では、ゲイ・バイとHIVの現状を知るのに役立つグラフと、どう考えたらいいのかヒントを紹介しています。9つの章と6つのコラム、2つの手記集で構成されていて、それぞれどこからでも読めるようになっています。また、より詳しく知りたい人のために、巻末にて冊子やウェブサイトについても紹介しています。

 

この本で使っている「ゲイ・バイ」とは?

HIVの分野では、「MSM(Menwhohavesexwithmen)」という言葉が使われています。自分のことをどう呼ぶかはゲイ、バイセクシャルだったり、ホモ、オカマなど、人によって様々です。また、自分がそうだと思っていなかったり、結婚をしていても、同性とセックスをする男性もいます。そうした多様なあり方を前提に、「男性とセックスする男性」を呼ぶのに「MSM」が使われています。この本では、読みやすさを優先して「ゲイ・バイ」を使っていますが、「MSM」と同じ意味として使用します。

[基礎知識]
HIVとエイズって、違うの?

AHIVとエイズは違うものだ。HIVというウイルスが粘膜などを通して体内に入り、そのまま放置していると、体の免疫が徐々に破壊される。その結果、特定の疾患を発症した状態を「エイズ(後天性免疫不全症候群)」という。

エイズ発症の指標疾患

  • ニューモシスチス肺炎
  • カポジ肉腫
  • カンジダ症
  • 悪性リンパ腫
  • HIV脳症など、23種類

HIVのウイルスを含む体液

  • 血液
  • 精液/先走り液
  • 腸粘液
  • 膣分泌液
  • 母乳

感染のメカニズム

HIVに感染すると、HIVが血液、精液、膣分泌液、母乳に多く含まれるようになる。最近では、腸から出る腸粘液にもHIVが含まれると言われている。一方で唾液、涙、尿などの体液は他の人に感染させるだけの、十分なウイルスが含まれていない。粘膜や血管に達するような皮膚の傷にHIVを含む体液が直接触れると、感染の可能性がある。傷のない皮膚からは感染しない。そのため、HIVは日常生活の中で感染するようなものではない。HIV感染はセックスが主であり、その他には覚せい剤使用時の注射器の回し打ち、母子感染などがあげられる。また、HIV検査を受ける場合には、血液中のHIV抗体やウイルス量が十分に増えていないと、これらを検出することができない。そのため検査で確実な結果を受け取るには、感染の可能性のある行為があった日から60〜90日あいだをあける必要がある。この期間をウインドウピリオドと呼んでいる。

特に注意したい粘膜や皮膚

  • 口や鼻やまぶた
  • 尿道
  • 肛門のなかの直腸
  • ペニスの皮膚

HIVは体のどこから感染する?

粘膜は傷つきやすく出血もしやすいため、HIVの感染が起こりやすい。場所としては、直腸、口、鼻、まぶた、そして尿道などがある。特に直腸や尿道の粘膜は薄くなっているため、傷がなくても感染が起こる可能性がある。またペニスは、亀頭と陰茎をつなぐひだ(陰茎小帯)、亀頭のカリのすぐ下や、包茎の亀頭に被さっている皮膚(包皮)に、HIVが取り込まれやすい細胞がたくさん存在し、皮膚も非常に薄いため、摩擦による細かい傷から感染する可能性がある。

コラム1エイズを「発症」するまでのスピードが早まっているって聞いたけど?

実は今、そういった報告が注目されている。これまで以上に早くHIVの検査を受けて、自分の状態を知ることが必要になっているのかもしれない。現在では抗HIV薬を服薬することによって、ウイルスが増えるのを抑えられるようになった。しかし、そういった治療を受けなければ免疫の破壊が進み、そしてエイズを発症する。治療を受けない場合、発症までの期間が平均して約10年かかるとこれまでは言われてきた。しかし最近、治療を受けていない場合のエイズを発症するまでの期間が短いケースについて、HIVの医療に関わる多くの医師が多くなっている実感をもっているという。国内最多数のHIV陽性者の診療を行っているエイズ治療・研究開発センター(ACC)の医師、岡慎一氏によれば、「最近のHIVは従来考えられていたより、感染してからエイズを発症するまでの期間がかなり短くなってきている」という。岡医師は、次のような調査について紹介している。「2007年までの10年間に感染した時期が特定できたACCの82人の経過を追ったところ、HIVに感染してから3年後にCD4数(※)を高く維持している人の割合は13.5%で、残りは感染から3年ですでにエイズ発症の可能性のある状態になっていた。明らかに病状の進行が、従来言われていたよりも早くなってきている」。こうした背景には、「HIV自体が進化して形を変え、人間に対して強くなっているのかもしれない。感染後10年でエイズを発症するという話は、アメリカでエイズが登場した1980年代初期に言われたこと。それからすでに30年たち、いま感染しているウイルスは人間の抵抗力をすり抜けてきた強いウイルスとその子孫たちである」という。ここで改めて確認しておきたいのは、現在では、HIVに感染しても適切な時期にHIVの治療を開始することによって、エイズの発症を抑えることが可能になってきていることだ。また発症する事態に至ったとしても、適切な治療によって、多くの場合は健康を取り戻すことは可能だ。しかし、エイズ発症の診断が遅れてしまうと、身体に障がいが残ったり、免疫の回復に時間がかかるなど、その後の生活や治療によくない影響を残す場合もあることも確認しておきたい。今はHIVのよい薬も開発され、陽性者が利用できる福祉の制度も整ってきている。エイズを発症する前に自分の状態をわかるためにも、思い当たる行為や体調不良など気になることがあるとき、あるいは定期的にHIV検査を受けることがいいのではないだろうか。

※白血球内のリンパ球の一部であるCD4陽性Tリンパ球。200個/μl未満になるとエイズ発症リスクが高くなる。CD4はHIV陽性者の免疫力を示す最もよい指標とされる。

「HIV=死」じゃないって、ほんと?

A治療の進歩によって、HIVに感染していることを早く知って治療を始めれば、エイズの発症を防ぐことが可能になった。しかし今でも、検査を受けることができずに発症して、治療が難しくなるケースはある。

デンマークで行われたHIV感染者のコホート調査。25歳でHIVに感染した人の平均余命の推計を比較している。日本では1997年に登場した多剤併用療法(HAART)など治療の進歩によって、感染者の平均余命が大きく伸びている。また、非感染者とHIVの治療を受けている感染者の余命の差は今後ますます小さくなるだろう。

出典:[2007]“SurvivalofPersonswithandwithoutHIVInfectioninDenmark,1995-2005.”,AnnalsofInternalMedicine146.対象:デンマークにおけるHIV感染者と非感染者を対象としたコホート調査

長期につきあう病気の時代へ

この10年で、HIVの治療が大きく進歩した。検査で早めに感染を知り、適切な時期に薬を飲み始めることができれば、HIVが血液中に測定できないレベルまで抑えこむことができるようになった。1997年頃まで、多くのゲイ・バイがエイズを発症して亡くなった。言いにくい話題のため、その事実はあまり知られていない。もちろん、今でも発症したり、その寸前までHIVに感染していることがわからないことで、難しい症状が出るケースなどもある。またいったん治療を始めると、HIVの治療薬を飲み続けていかなければならなく、副作用が伴う可能性もある。楽観することは簡単にはできない。

しかし、こうした治療の進歩により「エイズで亡くなることは非常に少なくなった」と言われるようになってきているのも事実だ。左の図の調査では、HIVに感染してからの平均余命が、治療を続けている場合、90年代と比較して30年以上伸びていることが推計されている。つまりHIVに感染しても治療を続けながらその先の人生を続けることができる、「長期につきあう病気」にHIVが変わってきているということだ。感染がわかってからの人生が、今では多くの場合は短距離走ではなく、治療を続けながら長い距離を走るマラソンになってきている。

エイズの発症を予防することは、なぜ大事なの?

「HIVに感染すること=死」じゃないという事実がわかっていても、感染しているかもと本気で思ったときにただただ怖くなってしまう、なかなか検査に踏み切れないという悩み。また、検査で感染を告知された後に「もうダメだ」と思って、体調がひどくなるまで病院に行かなかったというケースもある。それはまだ社会のなかで、あるいは自分の心にHIVと死がつながるイメージが残っているからだろうか?それとも、もっと他の何かを恐れているからだろうか?もしHIVに感染していても早くに知ることができれば、エイズの発症を防ぐことができる。しかし、エイズを発症するまで感染に気づかず、より大きなつらい状況を背負ってしまうことがまだたくさんある。例えば大変な闘病生活が長期間続いたり、脳に障がいが残ってしまったり、また亡くなることもある。エイズを発症しても多くの場合、回復することは可能だ。でも、できるだけ早めにHIVの感染を知ることにはメリットがたくさんあること、そのことを知ってほしい。

 

HIV陽性の人たちに自分たちの経験について、書いてもらいました。

咳がずっと続いていて、友だちに会った時に「ダメ、アンタ。今すぐ病院に行ってらっしゃい!」と言われたのがきっかけでした。結核と診断されて即入院。その病院でHIV検査を勧められ、結果は「陽性」。あれから12年が経ち今でも生きのびていますが、少しでも発見が遅れていたら、今はなかったかも、と恐ろしくなります。
50代・ゲイ・HIV+

「エイズになったら死ぬ」そう思っていたから、検査に行かなければと思いつつも先延ばしに。「どうせ陽性なら死ぬんだし、だったら知らずに過ごした方がいいや!」と。具合が悪くなってから告知を受けるのはつらいことでした。同じ告知を受けるのであれば、体が弱っている時よりも元気な時の方が精神的にも体力があるので、受け止めやすいように思えました。
30代・ゲイ・HIV+

「ゴムつけて」って言ったら、「大丈夫だよ、オレ検査受けてるし。そっちも大丈夫でしょ?」そんな風に言われたら、本当の自分のこと言えないよ。感染してしばらくはエッチする気は起きなかったけど、やっぱり誰かとつながりたい。
20代・ゲイ・HIV+

約2ヶ月近くの入院生活。自分の体に起こる変化が怖かったり、服薬による副作用、そして自由にならない自分の体へのいらつき、悔しさが続いていた。そんなある日、看護師の一人が夜勤明け病室まで来てくれてこんな事を言った。「私はまだ看護師としては新米で、あなたの病気のことも勉強しないといけない事が山ほどある。でもあなたの今かかえていることを少しでも解りたいの」そのとき、僕は自然と自分を語り出すことができた。自分自身をさらけだして、泣きじゃくって、やっと自分自身をまっすぐに見ることができるようになれた気がした。
30代・ゲイ・HIV+

ゲイ・バイのあいだで、HIV/エイズはどのくらい増えている?

A現在、日本でHIV陽性者は19,000人以上いて、ここ数年は毎年1,500人以上の新たな感染報告がされている(2010年11月時点)。そのうち、HIVで感染がわかるケースもエイズを発症して感染がわかるケースも増加傾向にあって、特にゲイ・バイの感染が増えているのが現状だ。

厚生労働省が発表している、年ごとの新たなHIV感染者とエイズ患者の報告。男性同性間の性的接触による感染の割合が、現在ではHIVで約7割となっている。HIV感染者、エイズ患者ともに、特に男性同性間での感染が増加している。また、同性との性行為で感染したと言いにくい現状を考えると、男性同性間での感染割合は報告よりも多い可能性がある。

出典:厚生労働省・エイズ動向委員会報告[2008]

HIVが中高年のゲイ・バイで増えているって聞いたけど?

厚生労働省の報告をみると、2008年にHIV感染者として報告された人のうち、7割以上が男性同性間の性的接触での感染と報告されている。年齢別だと、20代や30代での報告が最も多い。また、エイズ、つまり発症した状態で感染を知った人でも、ゲイ・バイの占める割合が増えていて、2008年の報告では約半数だった。年齢別だと30代、40代が中心だが、50代以上でも増加している。また10代から20代前半でも報告が増えている。HIVは若い人の病気と思われがちだ。しかし年齢に関係なく、すべてのセックスの経験があるゲイ・バイと関係が深い病気であることがみえてくる。

HIV/エイズは、ゲイ・バイにとってやっぱり身近な問題

2008年に行われた調査によって、日本全国の20歳から59歳の男性のうちどの程度が男性との性行為経験があるのか、明らかになった。調査によると2.0%が「経験あり」と回答している。つまり計算上、約68万人の男性が男性との性行為経験をもつことになる。このことから、ゲイ・バイの中でどのぐらいの割合がHIVに感染しているのか(有病率という)、また、そうした経験をもたない男性と比較して有病率がどの程度異なるのかを推計できるようになった。推計したゲイ・バイのうち0.7%がHIV、0.2%がエイズで感染がわかったとして推計できる。また男性との性経験をもたない男性のうち性行為で感染した人の割合がHIVで0.005%、エイズで0.004%と推計できる(2008年度厚生労働省の報告をもとに計算)。これを経験をもたない男性と比較すると、ゲイ・バイでは感染している人の割合がHIVで約140倍、エイズで約50倍高いことがわかる。このことはまず第一に、特にゲイ・バイに対するHIVの対策が今必要とされていることを示している。またゲイ・バイにとって、HIV/エイズの問題が身近な問題であることも知らせている。

どんなときに検査に行こうって思いました?

どんなときにHIV検査を受けに行こうと思ったり、何がきっかけでHIV検査を受けたのか、5人のHIV陽性の人に聞かせてもらった。

やばいかもと思ったセックスの後、気になって保健所で検査を受けました。
Aさん

梅毒だと診断された時に、医者から「梅毒ならHIV検査も一応受けたほうがいい」と言われたのがきっかけ。
Bさん

痔の手術を受けることになって、その術前検査で感染がわかったんです。
Cさん

具合悪いのが続いていて医者にかかってたんですけど、原因がずっとわからなかった。思い切って「HIVの検査をしてくれますか」って言いました。
Dさん

エイズに感染してるんじゃないかって気になっていた時に、ゲイフレンドリーな病院があるって聞いて、そこで検査を受けました。
Eさん

HIVに感染する可能性があるセックスをして、自分からHIV検査を受ける人がいる。また体調不良がきっかけだったり、Bさんのように性病に感染して医者から検査を勧められた人など、HIV検査を受ける理由は様々だ。もし過去のセックスで気になることがあるなら、あるいは思い当たる症状があるなら、一度はHIV検査を受けることを考えてみてはどうだろう。

ゲイ・バイは結構、HIV検査に行っている?

A「検査、検査うるせーよ」と思うこともあるかもしれない。でもエイズを発症するまで感染がわからなくて、大きなつらい状況を背負ってしまうことが今でもたくさんある。感染しても、早めに感染を知ることで、それまでとあまり変わらない生活を送る人がたくさんいることを知ってほしい。

HIV検査はどこで受けるといいか

保健所ではゲイフレンドリーな検査を行っていたり、検査の前や後カウンセリングを行っている場所も多いので利用しよう。また希望すれば多くの医療機関で検査を受けられるが、HIV検査の経験がある医療機関を選ぶといいだろう。ゲイであることを知られることを恐れて、あるいは手軽さのメリットから通信販売などで売られている

「HIV検査キット」を使用する人がいる。この場合、HIV陽性だったときに結果が通知されるだけで、その後にどう対処していいのか情報を得られず、またカウンセリングを受けることもできないことに注意しよう。ここでは保健所やHIVの検査を通常に行っている病院での受検をおすすめする。多くの検査機関では「個人を批判しない」「匿名性」が基本だ。また、検査や検査後の情報は、webサイト「HIVマップ」を見てみよう。

HIV検査の種類

検査には主に「通常検査」と「即日検査」の2種類があり、それぞれ特徴があるので各項目を確認してほしい。通常検査では陽性の結果が出た場合、結果を伝えるまでの間に確認検査(二次検査)が行われるので、感染の有無について確実な結果を得られる。即日検査で使う試薬は感度が非常に高いため、感染していないのに反応する偽陽性が100人に1人程度の割合で出ることがある。陰性の場合はその場で確定するが、陽性の場合はさらに確認検査が必要となり、結果の確定に1〜2週間要する。

通常検査
ウインドウピリオド60~90日
検査結果を伝える日検査から1~2週間後
検査結果の見方陰性→感染していない陽性→感染している

即日検査
ウインドウピリオド90日
検査結果を伝える日検査したその日
検査結果の見方陰性→感染していない
判定保留→後日の結果が陰性→感染していない後日の結果が陽性→感染している

 

コラム2検査で陽性ってわかったら、どうなるの?

HIV陽性であることを告知された直後は、不安を感じたり、驚いてパニックになったり、あるいは冷静に事実を受け止めようとしたり、様々な気持ちや状況になることがあります。そんなとき、まずは以下の6つのことを知ってください。そして、もう少し詳しく知りたくなったら、相談窓口に連絡をとってみたり、このページに書いてあるwebサイトにアクセスし情報を入手してみるといいでしょう。

  1. HIVの治療方法は進歩しています。
    今では慢性疾患(急激に症状が変化することがまれな病気の経過の長い疾患のこと)に近い病気になっており、HIVに感染すること=死ではないので、慌てる必要はありません。
  • 今まで通りの生活を続けることができます。
    HIV陽性とわかったからといって、大きく生活を変える必要はありません。仕事や人間関係などを急いで変える必要はありません。落ち着いてゆっくりと考えましょう。
  • 専門の医療機関に行きましょう。
    免疫やその他の健康状態を専門病院で調べ、今後の治療について専門家に相談しましょう。誰でもすぐに治療を始めるわけではありませんが、自分の状態を早い時期に知っておくことは、今後の治療や生活を考える上でとても大切です。
  • 相談窓口を知りましょう。
    あなたが直面しているさまざまな問題を、ひとりで抱えたり、すべてひとりで解決しようとする必要はありません。利用可能な相談機関がありますので、相談員と話しながら一つひとつ順番に解決していくと良いでしょう。匿名での利用も可能です。
  • 他の陽性者がどうしているのかを知ってみましょう。
    同じ立場の人同士が実際に会って交流や情報交換をしたり、インターネット上で他のHIV陽性者の経験を読んだりすることも可能です。
  • 医療費を軽減できる制度があります。
    さまざまな制度を利用することで、HIVの医療費の自己負担を小さくすることができます。個々の年収や利用する制度などによっても異なりますので、NGOや病院のスタッフ(医療ソーシャルワーカーなど)に相談してみましょう。
  • (※以上の文章は「ぷれいす東京」webサイトより一部文章を変えて引用しています)

    [セーファーセックス]ゲイ・バイは結構、コンドームを使っている?

    A安心してできるセックスの基本は、アナルに入れる・入れられるときやフェラチオをする・されるときにコンドームを使うこと。またすでに感染がわかっている人、どちらかわからない人にとっても、セーファーセックスはとても大事なこと。

    セーファーセックスが基本の時代

    HIVに感染したら、セックスは二度とできないと思う人がいる。しかし、セーファーセックスを実行することで相手に感染させることをほぼ避けられるし、自分も新たな病気を予防することもできる。感染にまだ気づかずにいる人もいることを考えると、相手が誰であっても、セーファーセックスの実行を基本とすることが必要な時代を今、生きているといえる。コンドームを使うことで感染を予防できる、このことを知っていても実行が難しいことがあるかもしれない。例えば「相手が使いたくないと言ったら、使いにくい」とか、「お酒やドラッグを使っているときに使えない」、「コンドームを使うセックス自体に慣れてない人もいる」といった話も聞くことがある。そんなときには感染の可能性を低くするような、自分なりの対策を考えてみるのが大切だ。

    コンドームの正しい使い方

    • ペニスの皮を下まで伸ばしてコンドームを下までかぶせ、次にたるんだ皮を上にのばしてから根元までしっかりつける
    • 使用期限を守る
    • 装着するときに爪をたてない
    • 二枚重ねにしない
    • コンドームをつけた後、ローションを一緒に使うと感度が高まる

    HIV+でも、セーファーセックス

    HIVに感染している人や、すでに感染しているかもと思う人にとっても、セーファーセックスはとても大事。抗HIV薬を飲んでいる人の体の中で、特定の薬がきかないHIV(薬剤耐性という)のタイプに変化することがある。その場合、選べる薬の数やパターンが減ってしまい治療が難しくなることがある。HIVに感染していてもセーファーセックスをしないことで、薬剤耐性をもつHIVに再び感染する可能性がある。複数のタイプのHIVに感染することで、症状が激化するケースも報告されている。また、知らないうちに誰かに感染させてしまうことも防ぐことができる。だから感染がわかっていても、セーファーセックスは大事だ。

    コラム3セーファーセックスって何だ?

    一言でセックスといってもいろいろある。ここでは特に、HIV感染に関わる「フェラチオ」と「アナルセックス」のセーファーな方法について具体的に考えてみたい。

    フェラチオ

    フェラチオでも絶対に大丈夫ということはない。フェラチオだけしかしてないのに、感染したという報告もある。

    Q1口のなかで射精されても、飲み込まなければ大丈夫?
    A1飲み込まなくても、HIVに感染する可能性はある。
    口の中は粘膜になっている。そのためHIVに感染した人の精液が入ると、飲み込まなくても粘膜を通して感染する可能性がある。また口の中に性病の感染があったり、傷やできものなどがあると感染率が高まる。

    Q2口のなかで射精されても、うがいすれば大丈夫?
    A2完全な予防にはならないけれど、できるだけ早くうがいはしたほうがいい。
    精液をできるだけ早く口から出した方がリスクはさがるので、すぐに吐き出したり、うがいすることが大事だ。またうがい薬は、使い過ぎると口の中を荒らしてしまうことがあるという人もいるので、適度な使用が大切。

    Q3口のなかで射精されなければ大丈夫?先走り液は?
    A3先走り液も感染の可能性がないわけではない。
    先走り液は精液よりもリスクは少ないが、ウイルスが含まれる可能性はある。そのため、コンドームを使うか、できるだけなめない方がいい。なめたときには飲みこまないように、そしてできるだけ早いうがいが大事。

     

    アナルセックス

    肛門のなかの直腸の粘膜は、とても薄くて挿入のときの摩擦で簡単に傷がつくため、コンドームをしないとリスクが高い行為だ。

    Q4タチ(入れる側)は、コンドームを使わなくてもHIVに感染しない?
    A4タチもコンドームを使わなければ感染する可能性がある。
    直腸の粘膜はとても傷つきやすく、出血することが多い。腸から出る粘液にHIVが含まれている可能性がある。また、他の人の精液が相手の直腸に残っている場合、その精液から感染することもある。

     

    Q5ウケ(入れられる側)をしたとき、中出しされたらどうしたらいい?
    A5自然に精液が出てくるのを待とう。中出しされた場合、HIV感染の可能性がある。リスクを下げるために、まず肛門部分をやさしく水で洗い流し、精液が出てくるのを待とう。無理に肛門の中を洗うと腸の粘膜を傷つけたり、粘液をさらに奥にやってしまうことがある。

    Q6中出しされなければ大丈夫?
    A6中出しでなくても、コンドームを使わない挿入は感染の可能性がある。
    相手がHIVに感染している場合、先走り液にHIVが含まれるので可能性がある。また射精がなくても精液がもれ出ていることがある。コンドームは途中や射精の直前だけではなく、最初から使うと一番効果的だ。

     

    [依存症]ドラッグは大変だ!

    A何かに対して「これは絶対にダメ!」って言うのは難しいこと。でもドラッグについては、自分に対して「使ってはダメ!」と言う勇気をもとう。

    薬物依存症とはどんなもの?

    セックス時に薬物を使うことで、日常では得られないような快楽をもたらすことがある。最初は使うことをコントロールできると思っていても、繰り返し使用することで依存がつくられてしまう。多くの依存性の薬物は脳や体に作用し、薬が切れると探索したり、ひどい虚脱感や倦怠感、うつ症状に襲われることがある。常用していると同じ薬の量では同じだけの効果が得られなくなるため、薬物使用量が増えていく。

    薬物を使うこととHIV

    薬物とHIVの感染はリンクしやすいと言われている。セックスを盛り上げるために薬物を使うと判断力が鈍り、セーファーセックスができにくくなる。また常用していると精神的に不安定になり、ますます薬物に依存したり感染リスクの高い行為を続けるようになることもある。また、一部のハッテン場などで売られているセックスドラッグには麻薬指定のものや、麻薬と類似の有害性が疑われる「脱法ドラッグ」の場合もあるかもしれない。そもそも成分として何が含まれるのか保証はない。法で禁止されているものは使用や所持をすると逮捕されるケースもあるし、それが外国人の場合、強制的に国外退去措置になるケースもある。まずは薬物に絶対に手を出さないこと。使ったことがある人は次に使わないようにすること。そして誰かに薬物を勧めないことが大事だ。

    薬物依存症の治療・回復

    相談窓口は保健所や精神保健センター、依存症相談をかかげる精神科の医療機関、自助グループなどのサポートの場もある。依存症を1人で克服することは非常に困難だが、適切な治療を受けることで薬物を使用しない状態に回復することは可能だ。警察への通報を心配して治療をためらう人もいるが、依存症専門外来のある医療機関では患者のプライバシーが守られている。また、ゲイであることが知れるのを恐れる人もいるが、個人を批判しない、秘密厳守をモットーとする医療機関もあるので、安心して治療を受けられる。また回復の過程では、同じ薬物依存症の経験をもつ人同士が支え合う、自助グループが支えになる。ゲイであることをオープンに活動している自助グループもある。ここでは薬物依存を取り上げたが、他にもアルコールやセックスなどへの依存も、HIVと密接な関係がある。依存についての正しい情報を身につけること、そして必要な時は、専門の相談機関に相談してみよう。

    コラム4依存症FAQ

    薬物依存症以外にも、依存の問題は様々にある。ここでは、その他の依存についてお答えします。

    Q1同居している彼氏がいるんですが、酒癖が悪くて毎日飲酒し、ときどき警察のお世話にもなっています。それでもお酒がやめられないようで、「病院に行こう」と言ってもいやがります。本人をつれていかないとダメなのでしょうか?
    A1アルコール依存症が考えられます。普段はまともで仕事をちゃんとできている。しかし、飲めば失敗するとわかっていても「今度こそ大丈夫」と思わずにはいられないのです。また、明らかに深刻な状態なのに本人は気づかず、否定するのもアルコール依存症の特徴です。本人でなくても、恋人の立場で専門機関での相談や自助グループの参加ができるので、まずは相談してみてください。

     

    Q2友人がパチンコにはまっています。「お金貸して」と頼まれて、断ったのですが「サラ金に手を出させて、俺を破滅させる気か!」と怒りだします。大切な友達だし、関係は壊したくないのですが......。
    A2友人はギャンブル依存症かもしれません。お金を無心されても、決して貸さないでください。お金を貸せば依存を助長することになりますし、「今回だけ」と約束しても、それが守られることはまずありません。厳しい話ですが、多重債務で自己破産になることで、本人だけがその結末を引き受けることができるのです。突き放してどん底を見せることが回復につながるのです。友人の立場での、専門機関での相談や自助グループの参加ができるので、まずは相談されるといいでしょう。

    Q3買ったのに箱から出していない服がたくさんあります。給料の大半がローンで消えてます。買った後は後悔するけど、つい買ってしまいます。これって買い物依存症ですか?
    A3買う必要のないものを借金してまで買ったり、買ったままの状態で忘れることが多いのに、それがやめられないというのは、買い物依存症が考えられます。買った物品よりも、「買い物する」という行為自体にはまってしまう依存症なのです。クレジットカードやネットショッピングは便利な半面、お金を使っているという感覚がマヒしがち。借金が膨らんでしまう前に、専門機関に相談してみてはいかがでしょうか。

    (※以上の文章は、『Thisishope依存症・メンタルヘルスのもんだい、そしてHIVのこと』より一部文章を変えて引用しています)

     

    [通院・仕事・セックス]HIV感染がわかった後の、生活ってどうなるの?

    この10年でHIVの治療法が大きく進歩し、HIV/エイズで亡くなることは少なくなってきた。治療を続けながら、それまでとあまり変わらない生活を続けている人もいる。HIVに感染していても、その先の人生はつづくのだ。

    治療を受けているHIV陽性者の服薬、通院の回数、社会活動について聞いたもの。抗HIV薬を飲んでいる人はこの調査の回答者の82.9%で、薬の開発により服薬の回数が減る傾向にあり、1日に1回という人が47.1%だった。またHIV診療のための通院は月に1回が最も多く47.0%、3ヶ月以上に1回も19.7%だった。社会活動では半数以上が旅行していたり、趣味・娯楽活動などを行っている。その一方で「いずれの活動もしていない」が8.1%だった。HIVの感染がわかっても、今多くの場合、それまでの生活を急に変える必要があるわけではないようだ。

     

    HIV感染がわかった後、セックスに抵抗感をもったり、自分を責めるような気持ちになってしまうケースがある。しかしHIV陽性だからといってそのためにセックスを避けることは基本的に必要ない。調査からは、多くの人たちが感染がわかった後に、セックスを経験していることがわかる。これまでよりも、自分が他のHIVや性感染症に感染しないように、また相手に感染させてしまうことがないように注意したセーファーセックスをしていくことが必要になるだろう。そうしたことにセックスの相手と自分がともに気づかうことで、セックスを楽しむ気持ちを取り戻している人も多いようだ。

    「主に就労している」、「家事・通学・その他の事が主で就労している」が76.5%、「就労していない」が23.5%だった。HIVの感染がわかってからも、仕事や学校を続けている人たちが多かった。自分の感染について職場や学校で話すことが義務ではないし、話さないことでそれを負担に思う必要もない。また信頼できる職場や学校の人に話して理解をしてもらい、自分の味方を少しずつつくる人もいる。ただ、生活の中で人と関わることに負担を感じることもまだまだ多いようだ。下の図では病名を隠すこと、病気をもっていないように振舞うなどの経験がある人が多く、また「仕事をやめてしまおうと思った」と回答している人も34.9%いた。

    コラム5カミングアウトについて

    ある日、とあるバーに行ったんだけど、お客が15人ぐらいいたかな、「あの子、やりまくってて、生でもやってるみたい」「絶対HIVよ。信じられない!」っていう発言がマスターから出たんです。自分はプチってキレて、「その人がHIVかなんてわからない、決めつけですよね。お店の仕事って、お客さんを安心させたり楽しませること。このご時世でこれだけ陽性者がいることを知ってて、店の人が『信じられない』なんて言ってどうするの。もしもお客さんの中に陽性の人がいたらショックを受けてるよ」って言っちゃったんです。そしてマスターをカウンターのすみへ呼んで、耳元で言いました、「僕、HIVなんだ」って。そこでピタって彼の会話が止まりましたよね。自分は30分ぐらいその場にいて、その日は帰って、その後は4、5回行きましたかね。でも、それ以来、彼はHIVのことは聞いてこないし、僕がいるあいだはそんな話題も出さない。アンタッチャブルになってしまって、それもまずいかな、と思ってるんだけど......。それから仕事が忙しく、その店には最近ご無沙汰してるんですが、マスター、あれから何か考えてくれたかなあ......。[K]の体験

    打ち明ける場所、とき、ひと

    これまでにみてきたように、すでに感染がわかって生きている人はたくさんいる。また感染しているけれども、まだその事実を知らないでいる人も多くいる。そうであるはずなのに、例えばゲイバーで、HIV陽性者がいないものとして扱われることに傷つき、そこから足が遠のいてしまう人がいる。その一方で、HIVに感染して最初に、バーのマスターにそのことを伝えている人もいる。私たちが暮らしている街の様々な場所で、HIVに関することにふれる機会がある。それは必ずしもセックスにまつわる場面だけではない。友達のことだったり、元彼のことだったり、行きつけの場所のスタッフのことだったり、あるいは自分自身のことだったりする。自分たち一人ひとりにとって、本当はとても身近なことでもある。少しずつ、このことについて話し合えたらいいなと思う。一人ひとりが自分のペースでできる一歩から、誰もが住みやすい街が広がっていくのではないだろうか。

    [支援制度・カミングアウト]陽性者をサポートするもの

    治療には高額な医療費がかかるけれど、いろいろな制度を活用することで、負担を自分の所得に応じて減らすことが可能だ。まずは、病院のソーシャルワーカーや専門の相談機関に相談してみよう。

    HIVの相談ができる窓口は、たくさんある

    HIVの感染がわかったとき、あるいは感染しているかもしれないと不安を感じるとき、その先の生活について強く心配になることがあるかもしれない。「治療にかかる費用は?」「日々の暮らしはどうなるの?」、「どこまでHIVに感染したことを伝えなきゃいけないの?」、など。

    今あなたが直面していることはとても大切な問題で、何から取り組むのか整理をして、ひとつずつ解決していくことが大事だ。必要な場合は、信頼できる身近な人、医療機関のスタッフ、専門相談員、NGO・NPOや保健所などの相談機関に相談をしてみよう。相談することは大きな一歩だ。

    HIVの治療にはどのくらいお金がかかる?

    すべての人が感染がわかってすぐに服薬が必要になるわけではない。病気の進行の程度によっていつ開始するのかを決めることになるのだが、HIVの薬の服薬を開始すると高額な医療費がかかる。しかしHIV陽性者が利用できるいくつかの制度があり、それらを利用することで医療費の負担を軽減できる。例えば、1998年からは身体障がい者の認定を受けることができるようになった。これは血液製剤でHIVに感染した血友病の被害者が、国との交渉のなかで治療できる環境をつくってきた成果である。また、自立支援医療、重度障がい者医療などの医療費助成制度を活用する場合、働いている人なら月々の自己負担金を1万〜2万円に抑えることができる。ただし、これは所得により金額が変動する。手続きを知りたい場合には、病院のソーシャルワーカーや役所の身体障がい者手帳の担当部署で相談しよう。

    HIVのカミングアウトもいろいろ

    陽性者一人ひとりのカミングアウトの考え方は様々だ。時間の経過によっても変化する。厳重に情報管理をする人がいる一方で、信頼できる人に知って欲しいと思い、伝える人もいる。セックスの関係者に限定せず、生活の中で出会う人に必要があれば知らせる人もいるようだ。身近に相談できる人をもつことは、生活や治療を続けることにとって大きな力となる。しかし相手が受け止めきれず、人間関係を損なうケースもある。誰にどこまで伝えるかは、自分にとってサポートになるかどうかを考えて検討しよう。

    コラム6HIVのこと、ゲイ・バイは誰に相談している?

    これらのグラフはゲイバーの利用者に対して行った調査からみえてきたことだ。左の図をみると、過去6ヶ月間にゲイバーでHIVのことについて話したことがある人は全体で46.0%だった。友達と話をしていた人は56.6%だった。右の図では、HIVや健康について相談できる場所について聞いていて、全体では51.2%の人が知っていると答えている。どちらも50歳以上が他の年代に比べて低い傾向にある。みなさんの実感と比べて、どうだろうか?行きつけのゲイバーのママにカミングアウトをして、受け止めてもらえたことが大事な経験だったというHIV陽性者もいる。必要なときには専門の相談を使いつつ、バーのママやマスターだったり、身近な人のなかで安心してHIVのことを話せる人をさがして、話してみることも大事かもしれない。

    [よくある質問]相談の現場から

    A誰でも不安で精神的にまいってしまったり、問題を抱えることがある。そんなときに大切なのは、ひとりだけで抱え込まないこと。ここではHIVにかかわる相談で、よく聞かれるものを紹介する。

    「HIVに感染しちゃったら、死んじゃうんでしょ!」

    HIV/エイズの治療は大きく進歩している。検査で陽性という結果が出たとしても、長生きできるための薬や治療法が開発されている。感染しても、すぐに死ぬ病気ではもはやないと言える。

    しかし、「HIVに感染すること=死」という古いイメージによる不安から感染した可能性を無視していると、エイズを発症してしまうことがある。HIVに感染して放置しておくと、身体の免疫力が徐々に下がる。

    その結果エイズを発症し、肺炎や癌、脳症などのいろいろな病気を引き起こしてしまう。多くは治療が可能だ。しかし、身体に障がいが残る場合もある。陽性とわかった場合、きちんと専門医に定期的に診てもらうこと。適切な時期に抗HIV薬を飲むことで、エイズ発症を防ぐことが可能だ。感染していたとしても、早めにそのことに気づくことが、とても大切になっている。

    「コンドームを使えって言われても、セックスのときの行動を変えられないし」

    セーファーセックスの方法と聞くと、コンドームを思い浮かべる人が多いかもしれない。確かに、アナルセックス、フェラチオなどでは、コンドームを使うことによってHIV感染を防ぐことが可能で、これが最も確実な方法だ。また、他の病気で感染経路が同じである、B型肝炎、C型肝炎なども予防することができる。C型肝炎は、セックスで感染したという事例報告が、複数の専門医療機関から出されている。コンドームを使うことがどうしても難しいというときは、感染の可能性を減らすための方法を考えてみてはどうだろう。「ハームリダクション」、害(ハーム)を減らす(リダクション)という考え方がある。コン

    ドームを使用できないときに感染の可能性をより低くするには、口のなかの粘膜、肛門の内側の粘膜と精液との接触を少なくすることが有効だ。たとえば、射精は身体の外でしてもらう、粘膜のコンディションが悪いときにはその部位に関連した行為は避ける、などの方法がある。しかし、最も確実なのはコンドームだ。コンドームにも新商品がぞくぞくと発売されていて、「意外といい!」という声も多く聞く。まずは楽しみながら試してはどうだろう。それと「痛いの〜」という人には、水性のローションがおすすめ。また、コンドームを痛めないシリコンオイルもあるようだ。

    「HIVに感染したって、別に自分はどうなったっていい」

    自分はどうなってもいいという気持ちは理解できる。しかし、HIVは人から人へ感染していく病気という側面をもっている。あなたが無視することによる、自分でも気づかない間に誰かに病気を渡す可能性はゼロではない。定期的な自分の状態のチェックと予防をすることで、誰かに渡してしまう事を避けることができる。また気分が落ち込んだときには、自分を壊したい、傷つけたいという気持ちになってしまうことがあるか

    「電話相談って、安心して使えるの?」

    相談サービスは名前を出さずに利用できる。不安になるということは、HIVをとても身近に感じた時ともいえる。不安な気持ちを自分のなかに閉じ込めていると、どうしても想像は悪い方向に向かうことが多いようだ。相談を利用することで、不安を解消しつつ、同時に情報を増やしながら自分がどの方向に向けば一番メリットが大きいかを考えることができる。内容としては、以下のような内容の相談が電話相談の現場に寄せられている。

    もしれない。そんな時は気分が回復した時に自分がどう感じるのかを想像してみよう。いつもとは違う、例外の行動をしてしまったことが感染の原因だった、と話す陽性者もいる。感染しても人生は終わりではない。しかし一瞬の感情で、健康状態、生活パターン、ストレス負荷が変わってしまうのもまた事実だ。相談サービスなどを利用して、傾向と対策を考えてみてはどうだろう。

    1これまでの行動を振り返って、過去の感染の可能性を考える2今後の生活のなかでの、セックスの満足度と予防のやり方の調整3自分や周囲の人の感染がわかった時などもし、あなたが普段は人に弱みを見せるのが苦手だとしても、必要なときは一度、電話相談を試してみてはどうだろう。自分の問題を解決するためのパターンを増やせるかもしれない。

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