女性の肛門に関するお悩みとして「スキンタグ」があります。
スキンタグは肛門周辺の皮膚のたるみによって起こる症状で、見た目の問題などから多くの女性が悩まされるものです。
「肛門周辺の症状」であるため、なかなか医師や周囲の人に相談できず、ひとりで悩んでしまうケースがあるのが、スキンタグの問題点の大きな部分と言えます。
スキンタグの原因や治療法などをご紹介しますので、お悩みの女性はぜひ参考にしてください。
Contents
スキンタグとはどんなもの?どの年代の女性に多い?
スキンタグとは、肛門周辺の皮膚がたるんで、ひだのようになった部分を指します。
切れ痔やいぼ痔などができると肛門が腫れてしまいますが、その腫れが引いても、伸びた皮膚は戻りません。
そのため皮膚のたるみが、スキンタグとして残ってしまいます。
スキンタグは単なる皮膚のたるみなので痛みなどはありませんが、まるで「プヨプヨとした腫れもの」のように見えるため「なにかの病気なのでは?」と心配になる女性も多いです。
男女に関係なくスキンタグはできるものですが、見た目の問題もあって女性のほうがより気にする傾向があります。
またスキンタグは年齢に関係なく発生するものです。
2021年の第76回日本大腸肛門病学会で発表された「肛門科女性外来における肛門皮垂の検討」によると、スキンタグと診断された女性は20代が39%、30代が33%と、20代から30代でそのほとんどを占めています。
ただし40代以降や10代でもスキンタグは起きますので、どの年代の女性にとっても起こりうる症状と言えるでしょう。
スキンタグは放置しても問題はない?
結論から述べますと、スキンタグがあっても、放置しておいて問題ありません。
スキンタグは、単なる肛門周辺の皮膚のたるみによって生じるものです。
放置しておくとガンになる、といった心配もありません。
ただし女性のなかには、放置していても問題ないと知ってからも、スキンタグの切除手術を希望する方も多くいます。
その理由は、次の3つが挙げられます。
○見た目が良くなく気になってしまうため
スキンタグは、一見すると肛門の腫れですので、まるで「いぼ痔」のように見えてしまうものです。
そのためあまり見た目が良くなく、女性にとっては気になる存在ですので、切除を希望するケースが多くなります。
また個人的には気にならなくても、パートナーから指摘されたために切除を希望するケースも多いです。
○トイレの後に拭きにくくてかぶれやすくなるため
スキンタグが肛門にあると、トイレの後にトイレットペーパーで肛門を拭くときに邪魔になります。
拭き残しが起きたり、キレイに拭こうとして強く拭きすぎたりしてしまうと、肛門がかぶれやすくなるのです。
肛門がかぶれると当然かゆみが出るため、日常生活にも支障をきたすケースも多いでしょう。
○VIO脱毛を受けるため
スキンタグの切除理由としては「VIO脱毛を受けるために」もあります。
「施術してくれる人に見られると恥ずかしい」のも理由のひとつですが、なかにはVIO脱毛をおこなうクリニックから「施術のためにはスキンタグの切除が必要」と説明を受けたため、とのケースも見られます。
実際にはスキンタグの切除をしなくてもVIO脱毛は受けられますので、もし気にならなければVIO脱毛を理由にスキンタグの切除手術を受けなくても良い、と知っておきましょう。
スキンタグができる4つの原因とは?
肛門周辺の皮膚にスキンタグができる原因には、大きく次の4つが挙げられます。
スキンタグは簡単に言えば、肛門周辺の皮膚がなにかの理由で伸びてしまったり、余計な力がかかったりすることで発生します。
次に紹介する4つの原因は、それぞれ肛門に対して影響が大きいものだ、と考えて間違いないでしょう。
○出産
女性の場合、出産が原因でスキンタグができるケースがあります。
出産時には大きくいきむため、肛門の内部に隠れていた「外痔核(がいじかく)」、いぼ状の腫れた部分が外側に出てきてしまう場合が考えられるのです。
外痔核が外側に出てくる状態は「嵌頓痔核(かんとんじかく)」と呼ばれ、放置していてもそのうち自然に縮んでいって良くなります。
しかしその際、腫れていた部分の皮膚は伸びたままの状態になっているため、そこがスキンタグとして残ってしまうのです。
また外痔核以外に、女性の場合は肛門の前に腟がありますが、肛門と腟の間の壁が出産や慢性便秘などの原因で薄くなり、皮膚が伸びてスキンタグになる場合もあります。
この場合のスキンタグは、腟との間の肛門部分にできやすいため、原因の判断もしやすいでしょう。
○切れ痔
さまざまな痔のなかでも、とくに「切れ痔」を繰り返すとスキンタグの原因となります。
切れ痔は肛門の皮膚が切れる、裂けるのが原因で起こりますが、その切れた、裂けた部分の皮膚の両端がタコのように盛り上がったり、皮膚の突起状に残ったりする場合があります。
その盛り上がった部分や突起状に残った部分が、スキンタグとなるわけです。
またこのスキンタグは、別名「見張りイボ」とも呼ばれています。
○痔など肛門の手術
痔は悪化すると手術をしなければなりませんが、この手術がスキンタグの原因となります。
手術では痔のある部分を切開するため、傷ができて当然です。
この傷が手術後の後処理が不十分で腫れたりむくんだりしてしまうと、皮膚が伸びてしまって腫れやむくみが引いたあとでスキンタグができてしまいます。
また痔の手術と同じく、スキンタグを切除するための手術でできた傷が再びスキンタグの原因となる可能性も否定できません。
スキンタグは自分では治療できない!
スキンタグは肛門にできるものですので、人によっては「お医者さんに見せるのが恥ずかしい」と感じるでしょう。
そういった場合、スキンタグの治療を自分でしたい、と考えるのは当然です。
しかし残念ながら、スキンタグは自力では治せません。
痔のときに使う軟膏を塗れば小さくなるのではないか、と思いたくもなりますが、そもそもスキンタグは痔などが原因で伸びてしまった肛門の皮膚のたるみです。
たんなる皮膚のたるみですので、軟膏を塗っても効果が出ないのは当然でしょう。
だからと言って、放置していたらたるんでしまった皮膚が元に戻ってスキンタグがなくなるわけでもありません。
一度たるんだ肛門の皮膚は、放置しても元には戻らないためです。
スキンタグを治療したいなら、手術を受けて切り取ってもらうしかありません。
スキンタグには予防法がある
スキンタグはできてしまうと自分では治療できません。
しかし気を付ければ予防できますので、スキンタグに悩みたくない人は予防法を頭に入れておきましょう。
○長時間同じ姿勢で座るのを避ける
長時間同じ姿勢で座っていると、スキンタグの危険がアップします。
正確に言えば、肛門に血液が集中して痔になりやすくなってしまうのです。
痔はスキンタグとなる第一歩ですので、痔を予防すればスキンタグになる可能性も下げられます。
○便秘を解消する
便秘によって腟と肛門の間の壁が伸びてしまうのも、スキンタグの原因です。
規則正しい生活や食事、適切な運動で、便秘が解消できればスキンタグのリスクは避けられるでしょう。
まとめ
スキンタグは、肛門の皮膚が伸びてしまうために起こる症状です。
放置しておいても問題はありませんが、見た目などの問題から治療を希望する場合は、自分では治せないので専門医の手術を受けなければなりません。
ただし手術の傷跡が再びスキンタグの原因となるケースもあるため、どうしても手術が必要なのかはしっかり考え、手術の腕前が良い医師を探して手術を受ける必要がある点を覚えておいてください。