麻酔が誕生したのは、江戸時代です。外科医である華岡青洲は妻と母の検診のもと、全身麻酔薬「通仙散」を開発し、1804年ついにこれを用いての乳がん摘出を成功させました。
この手術が記録に残る歴史上最初の麻酔手術です。
その後麻酔の研究は進められ、華岡が生み出したものよりも安全かつ使いやすい麻酔が数多く開発されました。
日本で現在肛門の手術に使われている「腰椎麻酔」もその1つです。
この麻酔では腰の位置にある背骨に針を刺して下半身を麻酔します。
使用する針は採血用のものと比べると非常に細く、痛みも少ないです。
とはいえ見えない場所に針を刺されることを不安がる方もいらっしゃるため、鎮静剤を少量使うことも珍しくありません。
腰椎麻酔は比較的簡単で、卓越した技術力を持っていなくても安定して行えることが利点です。
また稀に頭痛や数日間の尿閉が生じることはあるものの、合併症がほとんどないこともメリットとして挙げられます。
なお腰椎麻酔を使うまでもない
日帰りの手術では、脊椎を取り囲んでいる膜の外側に麻酔を施す仙骨麻酔やそのほかの局所麻酔を使うこともあります。
これらの麻酔は作用時間こそ短いものの、腰椎麻酔のように頭痛や尿閉を起こす心配がありません。
どの麻酔に関しても、麻酔薬が原因でのアレルギー作用に気をつけなくてはなりません。
いわゆるアナフィラキシーショックで、発生頻度は非常に低いですが、万が一起こると重篤な状態へ陥ってしまいます。
たとえば過去に虫歯の治療で麻酔薬を使って体に不調が起きたことがある方は、痔を手術する前に必ず医師へそのことを伝えてください。
どうしても麻酔が使えない方には輪ゴム療法や内視鏡治療が行われます。
輪ゴム療法はマックギブニー法とも呼ばれ、いぼ痔や痔核など内痔を輪ゴムで縛る療法です。
内痔には神経が通っていないので縛られても痛みはなく、数日したら壊死して脱落します。
手術後の痛みや出血も微量で、2、3日安静にしていれば事足りますが、通常の手術に比べて数年後に再発しやすいことがデメリットです。
そのため可能であるならば、外科手術を受けることをオススメします。