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性行為でかかるアナルの性感染症とは

投稿日:2020年10月13日 更新日:

肛門を触る・舐める

人間の腸には細菌が1,000種類以上、約1,000兆個も生息しており、その重さは1kg以上と言われています。セックスの際に肛門を触ったり舐めたりするとそれらの細菌が付着し、体内へ入ってさまざまな感染症を引き起こすことがあります。

便は食べ物のカスと思われがちですが、実はそれ以外にも腸内細菌や腸壁細胞の死骸などが混ざっており、食べ物のカスは全体の5%程度しかありません。体外に出るべくして出たものであるため、便には毒素が多く含まれています。アナルセックスの際には肛門を洗浄しますが、そのときの残りが肛門付近に残っており、行為中に触ったり舐めてしまったりすることは少なくありません。

感染症を防ぐためにはまず、セックス後のうがいを徹底しましょう。口内に留まっている細菌を洗い流すだけでも予防に効果があります。また、肛門を触った指、あるいはその指で触れた箇所を舐めないことも重要です。肛門に触れた指で掴んだシーツや枕カバーなどはセックス後に洗濯しましょう。

デンタルダムを使用するのも手段の一つです。デンタルダムとはラテックスやゴムで作られた膜で、もともとは歯科医が使っていたものです。デンタルダムは非常に薄いため、それを当てつつ肛門を舐めても十分に性感を楽しめます。もちろんデンタルダムは細菌を透過しない、感染リスクを低減させることが可能です。

肛門に挿入する

肛門は排泄器官であるため、膣のように男性器の挿入を想定していません。そのため粘膜はとても薄く、目に見えずともアナルセックスの度に肛門や直腸は出血しています。その血液が尿道または自分の傷口から体内に入り、結果としてB型肝炎やHIVに感染してしまうこともないとは言い切れません。

挿入する肛門やその周囲が炎症を起こしている場合やでき物ができている場合も注意が必要です。その部分に触れたことで梅毒や淋病あるいはヘルペスなどの性病に感染することがあります。特に肛門内は視認しにくく、血が出ていたり荒れていたりしてもわかりにくいため重々気を付けなくてはなりません。

肛門に男性器を挿入する際は必ずコンドームを着けましょう。そうすることにより、たとえ相手が出血していたとしてもその血が自分の中には入らず、感染症のリスクを低減させることができます。しかしコンドームは正しく装着しないと、破れたり行為中に外れたりしてその効果を十分に発揮できません。コンドームを使用する際はまず裏表に気を付けましょう。裏表はコンドームの巻き方で確認可能です。もし裏表が逆だと装着しにくく、また無理に着けても外れやすくなってしまうため、もし間違えた場合は新しいものを使いましょう。

コンドームは非常に伸びやすい素材で作られているので、未装着時は小さかったとしても問題はありません。むしろ、自分のペニスサイズよりも大きいものを使ってしまうとコンドームと男性器の間に隙間ができ、アナルの中で外れてしまうことさえあります。また、使用期限もしっかりと確認しましょう。一般的にコンドームの使用期限は製造から5年前後です。記載されている期限を過ぎたものは劣化している可能性があるので、そのときは新しいものを購入してください。

ローションを使用するのも効果的です。ローションが潤滑剤となることで男性器と腸壁との摩擦が減り、傷が付きにくくなります。なお、水溶性やシリコン製のローションではなくワセリンやハンドクリームなどを潤滑剤として使用する際は、コンドームの材料が何で作られているかを必ず確認してください。一般にコンドームはラテックスかポリウレタン製ですが、ラテックスは油分に弱く溶けてしまうので、ワセリンやハンドクリームなどとは同時に使えません。

相手の肛門だけでなく自分の男性器も確認してください。尿道口が傷付いていたり炎症を起こしていたりするとそこから細菌が入りかねないので、状態が芳しくない際はセックスを中止することも重要です。

肛門に挿入される

肛門の粘膜は非常に薄く、口内や胃などの粘膜よりもあらゆるものを吸収しやすいです。また、体内から外に出る動き、つまり排便は問題なかったとしても、それとは逆の動きには弱く、入ってきた男性器によって傷が付いてしまうことがあります。その傷と、相手のペニスにできた傷やできものが触れてしまうと、そこから淋病や梅毒またはクラミジアなどをもらいかねません。また、精液や先走り液など相手の体液を肛門内に出されるとB型肝炎やHIVの感染率が非常に高くなります。

感染を予防するためには相手にコンドームを付けてもらうことが重要です。体外で射精すれば大丈夫だと思われている方も多いですが、B型肝炎やHIVのウイルスは精液だけでなく先走り液にも含まれているため、挿入前にコンドームを付けていないと予防にはなりません。

もしコンドームを着けない状態で挿入され、射精もされてしまった場合は肛門を洗いましょう。体液と粘膜が接触している時間を減らすだけでも感染リスクは下げられます。しかしこの際、焦って洗浄してはいけません。早く出そうとするあまりに肛門を傷付け、結果としてより感染リスクを上げてしまうことがあるからです。また、洗浄のために肛門へ水を注入したが、それが腸の奥にまで入ってしまいかえって滞留時間を延ばしてしまわないとも限りません。あくまでやさしく、落ち着いて洗浄しましょう。

アナルセックスをしないという手もあります。お互いの性器を手で愛撫したり挿入は性玩具で行ったり、または素股プレイを楽しんでみたりといった工夫を凝らすと良いでしょう。この際、性玩具はなるべく共有しないでください。共有する際も性玩具を介して血液や体液が相手に付着しないよう、コンドームを使用したり都度消毒したりする必要があります。

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