肛門がんの治療を受けた男性同性愛者の生活の質と性的機能：顧みられない集団を対象とした前向き試験（原題：Quality of Life and Sexual Function of Men Who Have Sex with Men Treated for Anal Cancer: A Prospective Trial of a Neglected Population）
The Journal of Sexual Medicine, Volume 18, Issue 8, August 2021, Pages 1461–1466,
公開日:2021年7月9日
https://academic.oup.com/jsm/article-abstract/18/8/1461/6956116?redirectedFrom=fulltext
Contents
背景
肛門がんはまれな疾患であり、女性に多く見られる。男性と性行為を行う男性（MSM）は、リスクが高いにもかかわらず顧みられない集団である。
目的
主要目的は、肛門がんに対する根治的化学放射線療法を受けたMSMのQOL（生活の質）と性機能（SxF）を評価することであった。副次目的は、生存率を評価し、対象集団の性行動を記述することであった。
方法
2015年から2019年の間に根治目的で肛門がんの治療を受けたMSMを対象とした単施設前向き試験。QoLとSxFが主要評価項目であり、有効性が確認されたアンケートと性機能評価表を用いて評価した。全生存率、局所再発なし、遠隔転移なし、人工肛門なしの生存率を評価した。
結果
QoLと性機能。
結果
2015年11月から2019年8月の間に19人の患者が登録された。年齢中央値は59.3歳であった。III期は53.4%で、腫瘍の平均サイズは5.4cmであった。15人（79.0%）の患者はHIV（PLHIV）とともに生活していた。追跡期間の中央値は21.8ヵ月であった。全生存期間、局所再発のない生存期間、遠隔転移のない生存期間、人工肛門のない生存期間の平均値は、それぞれ20.8ヵ月、17.2ヵ月、19.8ヵ月、17.4ヵ月であった。中央値は算出されなかった。QoLは、治療終了時にはアンケート調査の傾向に従って値が著しく悪化し、治療後3ヵ月で最大値に上昇し、その後治療後12ヵ月で安定化する傾向を示した。IIEFアンケート調査では、対象集団に中等度の勃起不全が認められた。性交渉の頻度はQoLの測定値に従った。
臨床的意義
肛門管がんのMSM集団では、QoLとSxFは治療後1年までは同じパターンに従った。ほとんどの患者は、IIEFレベルおよび性機能インベントリで示されているように、追跡期間中に性機能が低下した。
長所と限界
これは単一施設による前向き試験であり、サンプルサイズも限られている。しかし、この少数派集団、あるいはQoLについて取り上げた研究は他にないため、この研究は文献上、独自かつ特別な貢献である。
結論
肛門がんおよびその治療は、QoLおよび性機能に関してMSMに負担を強いるものである。
