多様性とHIV脆弱性: オーストラリアのゲイ男性における挿入性肛門性交と受精性肛門性交の割合の調査(原題:Versatility and HIV Vulnerability: Investigating the Proportion of Australian Gay Men Having Both Insertive and Receptive Anal Intercourse)
The Journal of Sexual Medicine誌、第8巻、第8号、2011年8月、2164-2171ページ、https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2010.02197.x
発行日2011年08月01日
Contents
はじめに
ゲイ男性が挿入性肛門性交(IAI)と受容性肛門性交(RAI)をどの程度行っているかに関する最近のデータは不足している。HIVやその他の性感染症(STI)の全体的な感染リスクを正確に評価するには、このようなデータが必要である。なぜならば、両方の性交渉に従事する多用な男性は、感染したり他人に感染したりする可能性が高いからである。
目的
ゲイ男性がIAIとRAIをどの程度多用するかについて調査すること。
主要アウトカム評価項目
過去12ヵ月間および直近の性交渉において、IAI、RAI、またはその両方を行ったと報告したゲイ男性の割合。
調査方法
オーストラリアのゲイ男性856人がオンライン調査に回答し、過去12ヶ月間の性行為についてレトロスペクティブに報告した。
結果
過去12ヵ月間に肛門性交を経験した男性のうち、83%がIAIとRAIの両方を経験し、そのうち57%はIAIとRAIのパートナーの数がほぼ同数という高い汎用性を持っていた。直近の性交渉で肛門性交をした男性のうち、5人に1人(20%)が、1回の性交渉で同じパートナーとIAIとRAIの両方をする相互肛門性交をしていた。コンドームの使用率は、非相互的アナル性交(50%;P= 0.04)よりも相互的アナル性交(38%)の方が有意に低かった。汎用性の高い男性は自分のHIV感染状況を知っている可能性が低かったが、相互アナル性交やコンドーム使用などの直近の性交渉における実践は、自分のHIV感染状況やパートナーのHIV感染状況とは有意な関係はなかった。
結論
IAIとRAIの両方を行うことは、ゲイ男性の間では一般的であるようである。HIV/STI予防戦略は、多用な性行為、特にアナル相互性交の際にコンドームを使用する頻度が低い傾向が高いことの意味するところに注意を払うことが有益であろう。